今回はサイリスタとトライアックについて説明していきます。
サイリスタはダイオードに似ている
①サイリスタの構造
サイリスタの回路記号は図のようになります!記号をみて分かる通り一見ダイオードに似ていますね。
実際の構造もダイオードと似ていて、ダイオードにゲートが加わって、アノード、カソード、ゲートで構成されたものをサイリスタと呼びます。
サイリスタの構造はp型半導体とN型半導体を組み合わせたP-N-P-Nの4層でできています。そのため、サイリスタは、PNPトランジスタとNPNトランジスタの組み合わせた等価回路で表わすことができます。
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②サイリスタの基本動作
続いて、サイリスタの基本動作について考えてみましょう。
まず、サイリスタを駆動するにはゲート信号を制御しないと、アノード-カソード間に電流を流すことはできません。
ゲートをONするためには、データシート記載のゲート・トリガ電圧VGTとゲート・トリガ電流IGTを満たさなければなりません。
これら閾値は部品ごとに異なるので、使用する場合は必ず確認しましょう。
サイリスタはゲート信号の制御によって、アノード-カソード間(A-K間)のON制御を行いますが、一度ONするとゲート信号を制御してもOFFにできない特徴があります。
つまり、一度ONしてしまうと、ゲート信号の入力を切り替えてもOFFにはできなくて操作不能状態になってしまいます。
ONできても、OFFできない素子なんて使い勝手が悪すぎる!と思いますよね。
でも安心してください!OFFする方法はキチンとあります!
それは、アノード-カソード間電圧を0Vにする、もしくは逆電圧をかけることで、ON状態からOFF状態に切り替えることができます!
逆電圧とか0Vか、わざわざそんな制御してられんよ!って場合でも大丈夫です。
なぜなら、サイリスタは交流回路に主に使用されていて、ゼロクロスをうまく使った回路に使われることが多いからです!
つまり、サイリスタを使ってゼロクロス回路と呼ばれる回路を構成しています。
サイリスタは主にスイッチング素子として使われ、順方向のみ電流を流すことができる逆素子3端子サイリスタが最も一般的なものとなります。
正負が入れ替わるということは電圧が0になるポイントが必ずあるということ。この、電圧がゼロになるポイントで回路の制御を行ないます。
今回のサイリスタの場合だと、一度ONされて電流が流れている状態のときに、ゼロクロス点(電圧がゼロになる点)が来ると、サイリスタがOFFになります。
トライアックはサイリスタの応用版
①トライアックの構造
トライアックの構造はサイリスタと似ていますが、若干違います!
サイリスタが片方向だけ電流を流すのに対し、トライアックは両方向に流すことができます。
つまり、サイリスタとの違いは、片方向に流せるか、両方向に流せるかの違いです。
記号から見ても分かるように、ダイオードを双方向につないで、ゲートを接続したような構造になっています。
②トライアックの基本動作
トライアックはゲートにON信号を送ると、導通が可能になります。しかしサイリスタ同様に、一度ONすると、アノード-カソード間を0Vにするか逆電圧をかけないと導通をOFFできません。
、、、
トライアックもかよ!って思いますよね。
でも安心してください!(2回目)
トライアックも交流回路によく使われるので、ゼロクロス点でOFF制御を行って使われることが多く、サイリスタと同様の使われ方をします。
ただし、サイリスタと比べて両方向に導通できることから、交流回路の正電圧、負電圧のどちらの電圧が印加されてる場合でも、電流が流れるので、サイリスタに比べると倍の時間が流れることになります。