はんだ付けの方法 〜フロー/リフローの違いとは?〜

電気・電子

電気回路基板の製造には。抵抗を乗っけたり、コンデンサ乗っけたりと必要不可欠なはんだですが、はんだ付けには様々な方法があります。

 
通常、データシートにもはんだ付けの推奨方法が記載されているので、回路設計者にとってどんな工法があるかを理解しておくに越したことはありません。

 
その中でも、今回はフローはんだリフローはんだについて説明たいと思います。
 

フローはんだとは?メリットとデメリット

(1)フローはんだとはなにか?
 
フローはんだとは、DIP槽(はんだが入った浴槽のようなもの)に基板を浸すことで、はんだ付けを行うことができます。

 
「はんだ付けなんて、中学校の技術でしかやったことないからわからない!」て方もいるかもしれませんが、フロー半田は基板の製造工場ではとても一般的な工法です。

 
フローとは英語の〝flow〝を指していて「流れ、流動」を意味しています。これは、基板上に部品を乗せてDIP槽に「流す」ことからこのような名前になってると考えられます。

 
フローはんだは、基板の裏面をはんだ槽に浸すため、主にディップ部品のはんだ付けに用いられることが多いです。

 
表面実装タイプの部品をフローはんだで付ける場合は、あらかじめ部品を接着剤で基板に固定して、外れて落ちてしまうことを防止します。

 
 
フローはんだのイメージ図は以下の通りです。

①基板に部品を固定
 チップ部品などは接着剤で固定する

②DIP槽に浸す
 基板の裏面を浸すことで部品にはんだが付く

③はんだ付け完了
 DIP槽から持ち上げて半田が固まれば完了

 

 

 

ディップ部品ってなに?

ディップ部品とはパッケージからリード線が出ている部品のことです。

ディップ(DIP)は直訳すると「浸す」の意味になります。

リード線がついているアキシャル部品は、基板のスルーホールを使ってDIP槽に浸すことが多いことから、ディップ部品と呼ばれるようになりました。

 
 
(2)フローはんだのメリット・デメリット
 
フローはんだにはメリットもあればデメリットもあります。

 
フローはんだは、基板全てをはんだ槽に浸すため、短時間で多くの部品を取り付けることができて生産効率が良いため、大量生産に向いています。

 
実際に私もフローはんだの現場をみた経験がありますが、基板が機械に入りあっという間にはんだ付けが完了していたことに驚きました!

 
しかし、基板ごとはんだ槽に浸すということは、はんだ量が調整しにくいというデメリットも生まれてしまいます。

 
部品と部品の実装間隔が狭いと、はんだ量が多くついた時にはんだブリッジを起こす可能性があります。

 
はんだブリッジによって予期しない回路がつながったまま電源を入れた場合、一瞬で故障してもおかしくありません。そのため、フローはんだを行ったあとは、機械や目視によって最終チェックを行い、NGの場合はこてはんだで修正の必要もあるでしょう。

 
基板設計者としては、部品実装パターンを工夫してはんだブリッジが起きにくいパターンを設計することが、不良品を減らすコツです。

リフローはんだとは?メリット、デメリット

(1)リフローはんだとは?
 
フローはんだに対して、リフローはんだと呼ばれる方法があります。

 
リフローはんだは、基板上のはんだ塗布部分にあらかじめはんだクリーム塗り、その上に部品を乗せます。その後、高温の炉ではんだクリームを溶かし、部品にはんだ付けを行う方法です。

 
リフローはんだは、ディップ部品の実装に多く使われるのに対して、リフローはんだは表面実装部品に主に使われています。あらかじめ所定の場所にはんだクリームを塗ることができるため、フローはんだに比べて精度が高い特徴があります。

 
 
(2)リフローはんだのメリット・デメリット
 
精度の高いはんだ付けを行うことができるので、はんだブリッジ不良を低減できるメリットがあります。

 
また、スルーホールを必要とするディップ部品の実装は苦手というデメリットがありますので、部品に応じたはんだ付けを行う必要があります。

 

筆者のつぶやき

 
フロー、リフローはんだを理解するためには、実際に工場で作業現場を見るのが一番ですが、「そんな機会ない!」って方は、ネットで検索すれば動画で見る事のも可能です。

 
私も、「これってどうやって作ってるんだろう?」と思った時は、とりあえずネットで調べてみます。

 
はんだの方法は動画で見ることができますので、どのようにはんだ付けされているかを観察するのも良いでしょう。

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