ども!最近たまに海のランニングで足腰を鍛えているamasawaです!
回路を扱ってて思いますけど、FETって奥が深くて完全に理解するのがめちゃ大変で、私もまだまだ勉強しないといけないなと思う日々です。
今回はボディダイオードについて解説していきたいと思います!
ボディダイオードとは、FET内部に存在するダイオード
ボディダイオードとは、構造上、FETのドレイン-ソース間(D-S間)形成されるダイオードのことで、寄生ダイオード、内部ダイオード、内蔵ダイオードと色々な呼ばれ方があります!
そもそもボディダイオードが何故形成されるのでしょうか?
それはMOSFETの構造に理由があるんです!
MOSFETの構造は、図のような構成になっていて、内部はp型半導体とn型半導体から構成されています。
FETは、ゲート、ソース間(G-S間)に電圧を印加することでON状態となり電流を流すことができるのですが、ドレイン、ソース間の構成に注目してみましょう。
、、、
あれ?これって見たことありませんか??
そうなんです。実はここにpn接合ダイオードが隠されています!
これがボディダイオードの正体です!
通常FETはドレインからソースに電流が流れていきますが、ボディダイオードはソース側がアノード、ドレイン側がカソードになっているので、ボディダイオードではソースからドレインに電流が流れていきます。
これにより、FETをスイッチング素子として使うインバータ回路などでは、保護用ダイオードとしての役割も果たしています。
ボディダイオードの特性
ボディダイオードは、通常のダイオードと同じように特性がMOSFETのデータシートに記載されています。
ソース電流とは、ボディダイオードの順方向電流の定格値を表したものです。この定格値はMOSFETのドレイン電流の定格値と同じ値になっています。
そもそもドレイン電流の定格値というのは、ドレイン・ソース間のオン抵抗RDS(on)の損失によって定格値が決まり、ボディダイオードのソース電流も同じであることがわかりますね!
詳しくはパワーMOSFET 絶対最大定格で確認することでチェックしてください。
順方向電圧は、ボディダイオードのソース・ドレイン間に印加できる電圧のことです。
グラフを見ても分かる通り、ボディダイオードのソース電流は、順方向電圧とFET温度によって特性が変わっています。
電圧が高くなればなるほどソース電流が増加して、温度があがるほど流れる電流が増加することが分かります!
逆回復時間、逆回復電荷量とは、ボディダイオードの逆回復動作において、逆回復電流が消滅するまでの時間、電荷量を表しています。
逆回復動作とは、ダイオードがON状態からOFF状態になるまでの時間のことです。
ボディダイオードを頻繁に使用するモータ駆動等では、逆回復時間が重要で、この時間が長すぎると損失が発生し、最悪発熱による故障の可能性もあります。
ボディダイオードの4つの状態
MOSFETのドレイン・ソース間(D-S間)電圧には4つの状態が存在しています。
これらの状態一つ一つについて考えてダイオードがどうなっているのか見ていきましょう
①ボディダイオード OFF状態
ボディダイオードのカソードがプラス電位、アノードがマイナス電位のため、ダイオードに電流は流れていない。つまりダイオードがOFFの状態です。
MOSFETがON状態の時は、ドレイン・ソース間(D-S間)に正電圧が印加されているのでこの状態となります。
②ボディダイオード OFF⇒ON状態
OFF状態だったダイオードに順方向電圧が印加されて、ボディダイオードに順電流が流れ始める状態のこと。
いわゆる、ターンオン状態のことで、別名 順回復状態とも言います。
③ボディダイオード ON状態
ボディダイオードのカソードにプラス電位、アノードにマイナス電位が印加されて、順方向電流が流れている状態のことです。
つまり、MOSFETのソースからドレインに向かって、ダイオードを通して電流が流れている状態のことを指します。
④ボディダイオード ON⇒OFF状態
ON状態だったダイオードに逆方向電圧が印加されて、ボディダイオードがターンオフ状態になること。
これを逆回復状態とも言い、スイッチング動作では逆回復特性が重要なパラメータとなります。