今回はMOSFETについて解説していきたいと思います。同じFETでも選定を間違えると、動作が全く違うので、気づかないまま回路に突っ込んだらとんでもないことになってしまいます。笑
私も、使ってないFETなんかは、どれがどれだかわからなくなることもあるので、もう一回整理する意味を込めて今回の記事を作成しました!
Nチャネル型とPチャネル型のFETの違い
MOSFETにはNチャネル型とpチャネル型の2つがあります。2つの大きな違いは、n型半導体、p型半導体をFETのゲート、ドレイン、ソースのどこに使っているが大きな違いです!
p型半導体、n型半導体についてはこちらを参考にしてください!
半導体とは?真性半導体、不純物半導体(p型、n型)の違いも一緒に解説
①Nチャネル型MOSFET
まず、NチャネルMOSFETについて考えてみましょう。基本構造はドレインとソースにはn型半導体、ゲートにはp型半導体がくっついています。
つまり、2つのn型半導体と1つのp型半導体から成り立っています。
n型半導体とp型半導体が接合している部分は、ダイオードがある状態と同じになり、電流が全く流れない状態となります。
pn接合については以下記事をご覧ください。
pn接合とは?ダイオードの仕組みを解説
ここで、ゲート-ソース間に電圧を印加してみましょう。
すると、静電誘導でゲート端子付近に負の電荷が集まり、n型領域が形成されます。このようにp型半導体が電圧印加によってn型領域に反転したので、これを反転層と呼びます。
反転層ができたおかげで、ドレイン-ソース間がn層でつながり、ドレイン-ソース間に電流が流れるという仕組みになっています。
②Pチャネル型MOSFET
NチャネルMOSSFETとPチャネルMOSFETは、n型半導体とp型半導体の構成が逆になっています。つまり、ドレイン、ソースにp型半導体、ゲートにn型半導体がくっついています。
ですので、N型MOSFETと逆に、ゲート-ソース間にマイナス電圧を印加することで、ゲート近くのn型半導体が反転層のp型領域を形成します。これにより、ドレイン-ソース間に電流を流すことができます。
エンハンスメント型とデプレッション型の違い
まずは、エンハンスメント型とデプレッション型の違いについて、それぞれの英語の意味を確認してみましょう。
・エンハンスメント(enhancement):増大、強化すること
・デプレッション(depression):不況、不景気
などの意味があります。
エンハンスメント型とデプレッション型の大きな違いはMOSFETの構造にあります。MOSFETはn型半導体とp型半導体の組み合わせでできていますが、それぞれゲート-ソース間電圧が0Vのとき、ドレイン-ソース間にチャネルが形成されているかが異なります。
エンハンスメント型はチャネルが形成されてなく、デプレッション型はチャネルが形成されています。チャネルの有無で何が違うのかというと、電流が流れるかどうかです。
つまりデプレッション型はゲート-ソース間電圧0Vで、ドレイン-ソース間に電流が流れることになります。逆にエンハンスメント型は、ゲート-ソース間に電圧を印加しないと、ドレイン-ソース間に電流は流れません。
一般的には、電圧印加しないと電流が流れないエンハンスメント型FETが多く使われますが、デプレッション型もあるということを覚えていても損はないと思います。
amasawaの一言
MOSFETにはNチャネル型、Pチャネル型、エンハンスメント型、デプレッション型と様々な種類があります。
ただ、どうしても一般的に使われるのはNチャネル型のエンハンスメント型ですので、安いコストて部品を揃えようとすると、流通している部品を使って回路を設計したほうが、低価格で部品を揃えることができます。
ですので、設計の際でコスト重視の私は流通してなくコストが高い部品は極力使わないようにしています。
でも、たまには珍しい部品を使って回路設計もしてみたい気持ちもあるんですよね。