オペアンプ 差動増幅回路の原理、回路を説明

電気・電子

今回は差動増幅回路について説明していきたいと思います!

 

差動増幅回路とは?

オペアンプの基本回路には、反転増幅回路非反転増幅回路と並んで差動増幅回路(differential amplifier circuit)があります。

 
オペアンプ自体差動増幅器として使えますが、今回の差動増幅回路はオペアンプに抵抗を接続して、任意の利得(ゲイン)で入力値を増幅することができます。

 
反転増幅回路、非反転増幅回路についてはこちらを参考にしてください。
オペアンプの基本、反転増幅回路、非反転増幅回路の違い

 

差動増幅回路はコモン・モード・ノイズをキャンセルできる

差動増幅回路は名前の通り、入力電圧の差を増幅することができます。コモン・モード・ノイズは、入力電圧Vin-とVin+両方に同相のノイズがのります。

 
そのため、入力電圧の差のみ増幅する差動増幅回路は同相信号であるコモン・モード・ノイズの影響を無視することが可能となります。

 
なので、差動増幅回路では、ノイズを除去する能力である同相信号所拒否(CMRR:Common Mode Rejection Ratio)が非常に重要になります。CMRR差動利得同相利得の比で求めることができます。

 
同相信号除去比 CMRR とは何か?差動増幅回路の計算から理解

 

コモン・モード・ノイズ
ノイズ電流がGNDを経由して電源ラインに戻ってくるノイズのこと。電源のプラス側、マイナス側とノイズ電流の向きが同じなので「コモン」モードノイズと呼ばれる

 

差動増幅回路を計算式から理解しよう

計算式から差動増幅回路の入力と出力の関係を見ていきます。

 
抵抗R1、R2に流れる電流を考えます。(電流の向きは図のように仮定する)
オームの法則から、
 

$$
\begin{eqnarray}
I_{1} &=& \frac{ V_{in-} – V_{-} }{ R_{1} } \\
\\
I_{2} &=& \frac{ V_{out} – V_{-} }{ R_{2} }
\end{eqnarray}
$$
オペアンプの-端子、+端子をバーチャルショートしていると考えると、VとVは同電位なので、
$$
\begin{eqnarray}
I_{1} &=& \frac{ V_{in-} – V_{+} }{ R_{1} }  ・・・① \\
\\
I_{2} &=& \frac{ V_{out} – V_{+} }{ R_{2} }  ・・・②
\end{eqnarray}
$$
オペアンプの-端子はインピーダンス無限大と考えると、
$$
\begin{eqnarray}
I_{1} + I_{2} = 0
\end{eqnarray}
$$
となるので、①、②式を代入すると
$$
\begin{eqnarray}
\frac{ V_{in-} – V_{+} }{ R_{1} } + \frac{ V_{out} – V_{+} }{ R_{2} } &=& 0
\end{eqnarray}
$$
Voutについて求めると、
$$
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{ -R_{2} }{ R_{1} } ( V_{in-} – V_{+} ) + V_{+} \\
\\
&=& \frac{ -R_{2} }{ R_{1} } V_{in-} + \frac{ R_{2} }{ R_{1} } + V_{+} \\
\\
&=& \frac{ R_{1} + R_{2} }{ R_{1} } V_{+} – \frac{ R_{2} }{ R_{1} } V_{in-} ・・・③
\end{eqnarray}
$$

 
となります。

 
ここで、③式の前半は非反転増幅回路、後半は反転増幅回路の式になっていることがわかります。

 
次に、抵抗R3、R4に流れる電流を考えます。オームの法則から、

 
$$
\begin{eqnarray}
I_{3} &=& I_{4} &=& \frac{ V_{in+} – V_{ref} }{ R_{3} + R_{4} }
\end{eqnarray}
$$
$$
\begin{eqnarray}
V_{+} &=& R_{4} I_{4} + V_{ref} \\
\\
&=& \frac{ R_{4} }{ R_{3} + R_{4} } ( V_{in+} – V_{ref} ) + V_{ref} ・・・④
\end{eqnarray}
$$

 
③式に④式を代入します。

 
$$
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{ R_{1} + R_{2} }{ R_{1} } { \frac{ R_{4} }{ R_{3} + R_{4} } ( V_{in+} – V_{ref} ) + V_{ref} } – \frac{ R_{2} }{ R_{1} } V_{in-}
\end{eqnarray}
$$
ここで、R1=R3、R2=R4として計算し整理すると、
$$
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{ R_{2} }{ R_{1} } ( V_{in+} – V_{in-} ) + V_{ref}
\end{eqnarray}
$$

 
となります。

 
以上から、差動増幅回路の利得は抵抗R1と抵抗R2の比率で決まることがわかります。もしVref=0Vの場合は、

 
$$
\begin{eqnarray}
V_{out} &=& \frac{ R_{2} }{ R_{1} } ( V_{in+} – V_{in-} )
\end{eqnarray}
$$

 
で表わせます。

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